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柳澤 和章
International Journal of Nuclear Knowledge Management, 2(2), p.91 - 104, 2006/00
原研に投資した国家財産の透明度を税負担者として国民が考えた場合、原研がなしえたアウトカムの説明は、例えば貨幣価値といったようなできうる限り計測可能なもので行われるべきである。2001年、わが国の内閣は特殊法人に関する行財政改革のステートメントでこれと同じ趣旨の発言をしている。このような状況の中で、原研安全性研究にどのくらいの公共財が投入されたのかどうか調べたところ、40億ドルであることが判明した。定性的には、原研は、(1)政府の政策,(2)科学技術,学問,(3)工業界(技術移転,特許,受託研究等),(4)研究所が存在する地方自治体,(5)国際協力に貢献している。定量的には、原研は直接的な付加価値の創出(費用対効果)を研究のアウトカムとして算出している。原発の定着化というテーマの下で、発電や原子力施設に対して原研が過去に産み出した付加価値は60億ドルである。したがって、原発絡みの原研費用対効果は1.5となり、明らかにGDPを押し上げたことになる。もし、十分な原子力知識管理(NKM)がなされていなければ、これまで述べたような説明責任や予算使用にかかわる透明度を保持することはできなかったであろう。
柳澤 和章; 高橋 祥次; 成田 脩; 米澤 稔
IAEA-CN-123/03/P/18 (CD-ROM), 9 Pages, 2004/10
原研基礎科学研究の社会経済的効果を理解するため、研究ネットワークを通じての社会的相互交流の刺激と促進を定量的に研究した。(1)重要語{100}をINISに入力して物質科学に関する世界的な潮流を調べた。その結果、原研の物質科学研究はINIS加盟の先進国で行われている物質科学研究と遜色ないことがわかった。(2)物質科学研究で、原研が注力してきた分野として「イオン照射」,「アクチノイド」があり、これらは原子力との結びつきが強い研究分野である。アクチノイド研究分野では、ネットワーク成長率(全論文に対する原研-公共著論文の割合)は25年で3-4%、最近5年で8%となっている。最近はネットワークの成長率が著しい。(3)原研と東大等の他5研究機関で比較してみると、代表的な110研究分野のうち7領域(中性子,加速器等)が重畳していた。この重畳(競合)領域では、両機関が互いに補完し合い技術レベルの向上に努めていることがわかった。
研究業務評価検討アドホック委員会
JAERI-Review 2003-036, 75 Pages, 2003/11
基礎・基盤研究分野について、社会経済的効果に関する評価の、定量的な把握・分析を試みた。評価対象は物質科学研究とし、概略以下のような評価結果を得た。(1)原研物質科学の注力研究分野としては、イオン照射,アクチノイド等原子エネルギーに深く関連する分野が挙げられる。(2)国内物質科学研究の原研以外の代表的研究機関(KEK,東大,東北大,物材研及び理研を抽出)が注力する研究分野と比較すると、原研の注力研究分野と共通するのは、放射光,照射,電子顕微鏡,中性子,核反応断面積等ごく一部で、しかも、この競合領域では、お互い張り合うというよりは、補完的な形で、国全体として総体的に見た場合の研究水準を高め合っている形が見られる。(3)原研が注力してきた研究分野としては、アクチノイド,中性子照射,消滅処理等が挙げられる。また、ネットワーキングの大きさ,連携の程度が大きく、社会経済効果が大きいものとしては、中性子,核反応,アクチノイド等が挙げられる。(4)アクチノイドについてネットワーキングの実態を調べたところ、25年間の論文数シェアは、原研25%,学界及び公的機関の公52%,民間17%であった。共著論文数でみた機関間のネットワーキングの程度は、5年間ごとに見て原研-公では3-4%,最新5年は8%の割合で増加した。また、共同論文の著者を個別に追跡した結果を見ても、原研が主体的に研究に携わり、ネットワークの外部効果を拡大している様子が見てとれた。
楠 剛; 小田野 直光; 頼経 勉; 石田 紀久; 星 蔦雄*; 迫 淳*
Nuclear Engineering and Design, 201(2-3), p.155 - 175, 2000/10
被引用回数:47 パーセンタイル:92.29(Nuclear Science & Technology)船舶推進用として、改良舶用炉MRXの概念を確立した。MRXの設計目標を、小型化、軽量化、安全性向上及び信頼性向上として設定し、水張格納容器の採用により、「むつ」の約3倍の定格出力で、約1/2の容積及び重量まで小型・軽量化した。また、受動的安全設備の採用により、動的機器の数は在来型のPWRに比べて大幅に減少させることができた。受動的安全設備の機能については、解析により、また、一部実験により安全が確保できることを確認した。また、PSAにより、MRXの炉心損傷確率は在来PWRよりも2桁程度小さいことが示された。さらに、MRXを搭載した原子力コンテナ船と在来ディーゼル機関のコンテナ船との経済性比較を行い、大量で高速な貨物輸送のニーズに対して原子力船が有利であることを示した。
W.Nixon*; P.J.Cooper*; C.M.Bone*; S.Acharya*; U.Baeverstam*; J.Ehrhardt*; I.Hasemann*; Steinhauer, C.*; E.G.Diaz*; J.C.Glynn*; et al.
EUR-15109, 0, 338 Pages, 1994/00
安全評価におけるリスクアセスメントの使用の増大に従い、用いられる手法の信頼性及び予測結果に付随する固有の不確かさに注目が集まるようになった。このような背景から、欧州委員会及びOECD原子力機関(NEA)は、確率論的影響評価(PCA)コードの予測結果を比較する研究に着手した。これらのコードはレベル3の確率論的安全評価(PSA)に用いられ、原子力施設の仮想的な事故による健康及び環境リスクの推定に関わっている。1980年代後半から1990年代初期にかけて数多くの新しいPCAコードが開発されたため、この比較研究の開始は時宜を得たのものであった。研究の結果は4つの報告書にまとめられ、第1のこの詳細な技術報告書は、PCAの専門家を対象としたもので、比較結果の詳細が記述されている。
庄司 克彦*; 安川 茂; 佐藤 治
JAERI-M 9095, 126 Pages, 1980/09
本報告書はエネルギーシステム分析の用具としての経済分析モデルの作成について述べたものである。将来のトータルエネルギーシステムの分析には経済システムとエネルギーシステムの相互関係をも総合的に分析する必要がある。そこで、我々はこのようなエネルギー分析に適した経済分析モデルを開発した。このモデルは一般的な経済モデルよりもエネルギー関連指標の分析に力点を置くものであり、また、短期の経済変動を追うよりも長期の経済成長予測に適したモデルとした。なお、経済学的な観点からこのモデルを分類すると、オーブンレオンティエフ型の長期多部門分析モデルである。作成したモデルにより簡単なシミュレーションテストを行った。内挿テストおよび予測シミュレーションの結果はほほ満足出来るものであった。